最近の銀行の採用は、女性・男性問わず総合職採用が多いですよね。
その中でいちばん所属する可能性が高いのが営業職だと思います。
今回は、窓口係経験を経て、個人営業を担当してきたしょぼしょぼが、
営業職として銀行を選ぶメリットやデメリットについて話していきたいと思います。
『営業職』としての銀行の5つの強み
圧倒的な顧客数
銀行の顧客基盤は圧倒的
例えば、メガバンクのみずほ銀行の個人口座は2400万。約5人に1人が口座をもっている計算になります。休眠口座や複数口座保有もあるので、口座数=利用者人数とはなりませんが、取引先が多いということは営業において、とてつもなく大きな強みです。
それだけ顧客基盤があるため、新規開拓といっても全く口座もないところへ飛び込み営業をする必要はまずありませんし、電話や訪問をする際も、口座=取引がある手前、無下にされることは少ないです。
圧倒的な安心感
銀行は圧倒的にお客様に『会える』
「銀行」という肩書の信頼感は大変強いです。おおむね好意的な印象を持っている方が多く、銀行名さえ伝えれば実際に出てきてもらえたり、お話をさせていただけるケースがほとんどです。
メーカーや証券会社の営業職の方も口をそろえて言うのは、銀行は圧倒的に「会える」営業だということ。他の業種の営業職は、まずこの「会える」段階で大変苦労しています。
圧倒的な情報量
同じ飛び込み営業でも、空振りが少ない
『顧客の属性を把握した上で新規営業をかけに行くことができる』のは銀行だけの圧倒的な強みです。
口座さえあれば、年齢や資産情報はもちろん、果ては同じ銀行に口座をもつ家族の取引まで、銀行員は簡単に把握することができます。通帳の履歴の確認もできますから、たとえば、生命保険や証券会社などの他の金融機関との取引や、給付金からわかる子供の有無、慣れてきてしまえば水道代等からおおよその世帯人数まで推察することができます。
全く情報がないまま飛び込んでいかなければならない他の営業職に比べて、
- お金がある人に確実に営業ができる
- 「お金がないから」という言い訳が通用しなくなる
これらは、銀行の営業職だけの大きな特権ですね。
幅広い金融商品のラインナップ
多角的な提案が顧客満足につながる
銀行は他の金融機関に比べて、幅広い金融商品を提案する事ができます。
たとえば、「将来に向けて少額ずつ積立をしたい」というニーズがあった場合。
同じ金融機関でも、保険会社では生命保険の積立しか提案ができず、証券会社は逆に学資保険等の生命保険の提案はできません。生命保険、投資信託、外貨積立、NISA、iDeCo、国民年金基金などと、『幅広い提案の選択肢を持てる』ことは、銀行の営業ならではの強みです。
また近年、銀行の営業職の提案の幅はさらに広がってきています。
「銀行」の枠にとらわれず、企業グループ全体でお客様の課題解決に取り組む銀行が増えているためです。
例えば銀行単体では、法律上、証券会社のような外国債券等の取り扱いができませんが、
子会社として証券会社を設立していれば、販売の「仲介」という形で銀行のお客様にも同様のご紹介ができるようになります。
提案の幅が広がるということは、よりお客様のニーズやライフプランにあう提案にもつながります。
「お金の困りごとは銀行に相談すれば解決してもらえる」いつか銀行がお客様からそう思ってもらえる日も近いかもしれません。
「お客様の満足の追求」という点で、営業職として銀行を選ぶのも選択肢です。
私生活でも役立つ知識が増える
金融・経済等の質の高い情報に触れられる
先ほどまでの【営業職としての強み】という点からはずれますが、「早く正確な金融知識が身につく」というのも、銀行で営業職として働くメリットの一つでしょう。
銀行員は、販売スキル向上のため勉強会等にも頻繁に参加します。
中には生命保険会社や投資信託のファンドマネージャーが主催するものもあり、そうした勉強会で学んだ資産運用や家計の見直しといったスキルは、私生活でも大いに役立ちます。
また銀行で営業をしていると、企業の社長や役員の方と話すことも多くなります。
大きな企業の上に立つ人の考え方や、さまざまな業界のタイムリーな情報、経済見通しなど、
普段の生活では聞けない情報を得ることができるのも、銀行で働く大きなメリットですね。
では次に、『銀行で営業マンになるデメリット』について。
銀行をえらぶデメリット4つ
営業のノルマが厳しく、新規開拓は必須
毎期増加していくノルマ
銀行が旧来型の利ザヤで儲けるビジネスから手数料ビジネスへと舵を切る中で、
金融商品販売を行う営業のノルマはどんどん厳しくなっています。
ノルマ自体は、パワハラに厳しくなり、個人ではなく支店全体に課されるケースも多くなりました。
しかし、結局のところ、営業をおこなわない預金事務係や融資係の分まで営業が稼がなければならない状況は同じ。その負担はとても大きいままです。
新しい期を迎えるごと、ゆきだるま式に増えていくノルマに嫌気がさす営業職は多くいます。
個人営業(リテール)に関していえば、個人の資産は有限のため、絶えず新しい次の成果の見込み先の獲得に奔走しなければなりません。電話や訪問など、新規開拓は必須です。
できる銀行員が割を食う文化
インセンティブ(成果報酬)の少なさ
一般的に給料がいいといわれる銀行ですが、
まだまだ旧来の年功序列体質は根強く、インセンティブは他の営業職に比べると少ないです。
「人一倍がっつり成果を取って、がっつり稼ぎたい」という考えの方は銀行には向かないでしょう。
また先述した支店ノルマが達成できない場合は、少なからず個人の給与や昇進にも影響が出るケースも多いため、「自分は人一倍働いているのに割に合わない」と、できる営業マンほど不公平感を理由に転職していくケースが多々あります。
商品に優位性がなく、金利や手数料勝負になりがち
ネット銀行・ネット証券には絶対に勝てない
メーカー等とは違い、銀行には自社商品がありません。
取り扱う金融商品は、どの金融機関で買っても同じで、違うのは『金利と手数料』です。
2019年11月以降、フィデリティ証券に端を発した、
『ネット証券の手数料無料化』の流れは、特に銀行の営業職に大きな影響を与えています。
さらに最近は、コロナ下で多くの人が株や資産運用に興味を持つようになりました。
SNS等でも手軽に運用の情報収集ができるようになり、昔と比べて段に投資が身近なものへと変わってきています。そのような中で、若い世代を中心に『わざわざ高い手数料を払ってまで銀行で相談をする必要性はない』と考える人々が増えているのが実情です。
実際に銀行が取り扱う商品に関しても、販売手数料の高い商品ばかり。
営業職自身が「お客様をいい思いをさせてあげたい」と思っても、その選択肢には限界があります。
ネットの金融機関の台頭と、それに伴う成果と顧客利益との葛藤は大きなデメリットとなっています。
自己啓発が大変
日々の自己研鑽や資格取得がが不可欠
投資信託など、市場の影響を受ける商品も多数取り扱う銀行では、日々、新聞等からタイムリーな情報収集が欠かせません。個別の商品の勉強はもちろん、ライフプランに沿った提案を行うためには、最低限の社会保険や税金等の関連知識も必須です。
さらに銀行員は、外務員試験等、商品の販売や昇進のためにたくさんの資格の取得がもとめられます。
働く限り自己啓発とは切り離せず、取り扱う商品の増加にあわせてその負担も増えつづけているのが、銀行の営業職の辛いところです。
まとめ
銀行の営業職は、お客様との会話の中で情報を引き出し、お客様自身も気づいていない悩みをふくめた課題解決にみちびく仕事です。
その過程の努力は必ず自分自身の糧になりますし、直接お客様から感謝されることも多く、
とてもやりがいがある仕事の一つです。
一方で大きなノルマとプレッシャー、自己啓発等でとても負担が大きい仕事であることは事実です。
つらさとやりがいを比較して、「続けるのがしんどいな」「やめたいな」という気持ちがあれば、早めの転職も選択肢の一つです。
視野を広げる意味でも、一度転職サイトなどを活用し「営業職としての銀行」の価値を客観視してみるのはいかがでしょうか。
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